難民【不認定】手続
―「60日ルール」と242分の1―
1997年に難民認定を申請した242名のうち日本が難民と認定したのは1人だけだった。この10年間でも難民と認定されたのは31人だけである。難民認定の申請は難民調査官により審査され法務大臣により認定され、驚くべきことに不認定への異議申立も同じ法務大臣により採決されるが、申請者は、手続の存在を知ってからではなく入国から60日以内に難民認定の申請をしなければならないとされている。この“不認定”手続と運用実態は国際人権の大規模重大侵害を構成する。
イランで宗教上の理由から2年間投獄され95年に偽造旅券で入国したソヘールさんは8ヵ月後に不法滞在で逮捕された。難民申請手続の存在を知って申請したときには既に「60日ルール」に抵触しており彼の申請は不認定とされ、異議申立もしりぞけられた。このルールは難民の地位に関する条約に定められているのではなく、日本が勝手に作ったものである。同条約には申請期間に関する規定はない。
申請者は、入国後60日以上経過しても同条約ではその国際的権利を少しも損なわれない。難民としての国際的権利に関する限り申請者は国際法主体とされ、本来、申請者には日本の国内法は直接適用されえず、同条約により委任されている範囲内で国内法が適用されうるにすぎない。またこのルールは、その運用実態が解明されれば、世界人権宣言14条1項の庇護を受ける権利の大規模重大侵害とされる可能性さえある。人権の大規模重大侵害については、1970年の国連経済社会理事会決議1503の下で、個人または団体からの通報を国連人権センターが受理し、それは国連人権委員会で検討されうる。
わが国で、法務大臣に難民条約や世界人権宣言に従った難民認定を期待するのはムリである。難民に関する国際法をほとんど知らないことを数字が証明している。市民によりその任務が引継がれるべきである。(M)