アフリカにおける国際法の役割
松本 祥志
アフリカにおいては従来、重大な紛争を国際的に解決するための制度的メカニズムがなく、長老などで構成されるアド・ホック委員会による政治的解決が主流であった。しかし1993年にアフリカ統一機構(OAU)で採択された「紛争の予防、管理及び解決のためのメカニズム」はアフリカの紛争を国内紛争をも含め国際法に基づいて制度的に解決するための道を開いた。
また1991年に採択されたアフリカ経済共同体設立条約は、紛争を12カ月以内に同共同体司法裁判所に付託できるとしている。同共同体のほとんどの諸機関はOAUと同一であるとされ、しかも同共同体諸原則もほとんどOAU憲章の諸原則と重複してるので、それは経済紛争以外の紛争をも管轄するものと考えられる。この司法裁判所が設立される時期は「第四段階(効力発生から34〜40年後)」迄であるが、OAU加盟国によるこの構想の採択は紛争の解決方式についてアフリカが司法的解決にシフトしつつあることを示している。
さらにアフリカ諸国間の国境紛争が国際司法裁判所に付託されるようになってきたこと、ルワンダ虐殺事件の容疑者を審理、処罰するためにルワンダ国際刑事裁判所を設置させたこと、そしてアフリカ人権憲章の違反を審理するためのアフリカ人権裁判所の設置が検討されていることは、紛争の司法的解決へのシフトをさらにあぶりだしている。
このシフトにおいて注目されるべきは、OAU諸国は国内紛争をも国際的に解決しようとしている斬新な視点である。この視点は、個人や人民の国際的地位に不可逆的な影響を与えることになろう。