【31号ヘッドライン】


コソボ自治州、ヌナブット準州、そして …


 1999年4月1日の新聞は民族の光と影を映した。コソポ自治州ではミロシェビッチ政権がNATOによる空爆に対抗してアルバニア系住民を弾圧し難民化させ大量追放している。一方、カナダでは30年ごしの平和的交渉の結果、先住民イヌイットが大幅な自治権を獲得しヌナブット準州を樹立した。

 これらの出来事には政治的関連性も地理的近接性もないが、同じ問題に関連している。それは自己と他者の関係をどうみるかの問題である。コソボでは、セルビア系とアルバニア系の住民が深い溝で断絶された他者になっている。自己と他者を断絶させる位置づけ方では、自己が他者にすりより、たぶらかされ、あるいは他者を統合・同化させようとする植民地主義や民族浄化になるか、または自己の殻にひきこもったり、あるいは偏狭な民族主義や過激で排外的な原理主義に陥ったりする。

 それに対して、自己と他者との間を「断絶」ではなく連続する【関係】でとらえる見方では、自己と他者について語りうるのは近似性・類似性だけである。「どこが似てるか」だけで他者をみる。この近似性の見方では、自己の内に「他者なるもの」を、他者の内に「自己なるもの」をみる。自己と他者はガダマーの「地平の融合」によってつながってるのである。同時に自己は、近似性の延長線上で他者の「差異」をあるがままにみることになる。かくして対話による「イヌイット政府」樹立に到達する。

 私達はアイヌ民族、「在日」、アジアについて、どちらの他者観でみてるのだろう。 (SM)


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